日本透析医会の前身である都道府県透析医会連合会は昭和54年4月15日に各都道府県透析医会の連合組織たる任意団体として発足し、我が国の透析医療制度の調査研究、透析療法の安全性に関する調査などの事業を行ってきました。その後、同連合会は、厚生省を始め関係各方面の指導助言を得て、事業内容の見直しを行うとともに、昭和60年6月15日には日本透析医会と改称し、事業実績の蓄積等に努めてきたところであります。

さて、我が国における透析医療の歴史は、更生医療適用の昭和47年までの創成期〈第1期)、医療施設の急速に普及した昭和55年までの成長朗〈第2期)を経て、現在、社会経済情勢の変化のなかで適切かつ合理的な透析医療の実施を図るべき第3期を迎えているということができます。即ち、透析療法による患者の延命効果は益々確実となり、他方、この療法の普及は適応の巾を一層広げてきておりますので、透析患者数の増加はなお続くものと予想され、しかも長期治療患者の増加に伴って新しい合併症対策も要求されてきております。

また、腎不全医療とは、本来、腎不全の予防ないし進行防止、透析療法及ひ腎移植が三位一体として総合的に推進されねばならないものであり、そのいずれが損なわれても医学的、社会的な影響は甚大であると考えられます。我が国の現状と医学的趨勢を考慮するとき、透析医療従事者は、腎不全予防医療に真剣なる努力を傾注するとともに、腎移植治療の普及にも積極的に協カ参加する社会的使命を有するというべきであり、このような努力と活動なしには透析医療そのものの安定と向上は望み得ないことを強く認識する次第であります。

もとより、透析医療自体はなおも完成されたものではなく、生体適合性や安全性の面での進歩向上、一層有用な新技術の開発普が、なお必要であるほか、透析療法の省力化の促進や地域医療システムの整備、患者の移動に伴う病状招介や腎移植など未期腎不全関連情報ネツトワークシステムの導入も緊急課題であります。また、腎不全医療を総合的に推進するためには、透析医療従事者に対する腎疾患冶療の全般にわたる教育活動も継続的かつ組織的になされねばなりません。かかる認識のもとに、日本透析医会は、

  • 人工透析療法の導入及ぴ継続に関しその適正化を図るための事例検討その他の調査研究。
  • 人工透析療法に関する医療従事者の教育及び研修。
  • 人工透析療法の安全性及び有効性の向上に関する調査研究、助成。
  • 合併症を有する腎不全患者に対し医療の確保を図るための調査研究、助成。
  • 腎不全予防、腎移植その他腎不全対策の推進のため、国、地方公共団体等が行う活動に協力。

等を重点的に実施する社団法人を設立し政府の指導の下に、医学、医療の関係各団体の協力を得て、会員の資質の向上並びに国民の保健・福祉の向上に寄与せんことを決意した次第であります。